最近の共産党についての所感

長年志位体制が続いたのは彼を超える理論家が育たなかったから

田村智子氏が直面する共産党の「壁」 政治学者が語る党勢拡大の条件:朝日新聞デジタル
■中央大学の中北浩爾教授(政治学) 志位和夫前委員長の在任が20年を超え、党内では長すぎるという批判がくすぶっていた。党はジェンダー平等に力を入れており、女性で人気がある田村智子氏を委員長に選んだので…

やはり突貫の人事なのは人材難なのでしょう

世代交代の必要性は薄々感じていたとは思いますが、
そもそも志位体制が長期政権になったのは、
他でもない「彼を超える理論家が育たなかった」からに尽きるもので、
長いことズルズル引き延ばされてきたわけです。

そんな中でジェンダー政策を最前面に推しているものだから、
次期委員長には女性から選ばなければならないという、
政策上の理由からの拘束事項が生じています。

本来なら、昇進のプロセスからしてまず田村氏を党三役に置く必要があります。
小池氏がパワハラの不祥事をしていたので、
そこで更迭しておいて空いた所に田村氏を据える人事を
先にやるぐらいの事はしないと順序立てとしては不自然で、
かなり突貫の人事と言わざるを得ません。

このように段階を追って昇進させられていない時点で
田村氏は理論家としては「充分に育っていない」と考えられ、
党としてはまだ先の事になると見ていたのでしょう。

このような突貫人事になったのは、
おそらくフェミニスト団体などの外部から、
「女性を委員長に据えよ」という圧力が相当に
掛かってきているからなのでしょう。

とは言え、やはり後任を担う人材が育たないというのは頭の痛い課題であり、
共産党に限らずどの政党も同じく抱えていることではないかと思えてなりません。

院政とは語弊がありますが

志位氏が不破氏が退任した議長というポジションに入ります。
本来は前任者として引継ぎをしつつ、委員長のフォロー役を務めるのが役目です。
院政という理屈で言ってしまうと、志位体制は長年の不破院政ということになりますが、
実際はそういうわけでもありません。

志位委員長が自ら考えて政策の道筋は作っており、
当の不破氏は引継ぎやフォローの必要がなくなったら専ら理論研究に没頭していたわけですし。
志位体制後期には殆ど表には出てきてはいないのです。
党の中央大会などで講演をしたりということはあるにせよ。

ただ、田村氏はまだ理論面で未熟さがあるので、
当分は理論面でフォローしていく役割を担っていくことにはなるでしょう。

どうもこの件で大騒ぎになっているらしい

共産・田村氏、出席者の発言糾弾|埼玉新聞|埼玉の最新ニュース・スポーツ・地域の話題
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場は党大会ですから本来は議論がなされるべき所。
この場で叱責をしたのは、触れてはいけない「タブーの議題」を持ち出したからです。
問題なのは議題として触れてはいけないタブーがいくつかある。
その一つが党首公選制です。

あとは財源に対する議論もできないでしょう。
「財政法第4条遵守」を不動のものとしているため、触れる隙がないでしょう。
そんなこと発言しようものなら、まず代議員の候補から外される。

党首公選制もタブー議題だから、
本来ならこんなこと考えていたら代議員の候補から外される。
事前通告でも書けない内容なので隠していると思いますよ。
そしていざ議論の場で不意打ちで発表したものだから
大慌てになったんでしょう。

何故党首公選制を否定するのか

私としても気に掛かることではあります。
それというのも現状の選任プロセスは多重の間接選挙というもの。
党の中央大会において各都道府県の大会で選任された
中央大会の代議員による選挙によって選出するのですが、

さらにこの都道府県大会での代議員の選出も
各地区の大会で選出された地区大会の代議員であり、
この地区大会の代議員も各支部の中から選任してるのです。

長々しいですが中央大会の代議員を選任するまでにも
これだけ各大会の代議員選挙を重ね、間接選挙を重ねるという構造なのですから、
末端の党員の意志が届いているのか疑問に思えるものです。

なぜこのような、まどろこしい手続きをするのか考えました。

ポピュリズムを排したいのでしょう

党首公選制を否定し、間接選挙にこだわるのは
「ポピュリズム」を排したいからでしょう。

理論学習が未熟な末端党員がポピュリズムに踊らされて意思決定される
正確に能力による意思決定がなされず、
不適当な委員長が選ばれたりしないかという不安があるのでしょう。
ある意味、「一般党員の力量を信用しない」という節を感じます。

確かに橋下徹の様な「煽りが巧いばかりの人」が委員長になられても困りますし。

しかし、あまりにも間接選挙を重ねすぎるので、
せめて地区委員による公選と、1回の間接選挙に留めてみてはいかがでしょうか。

共産党の方針に異議があるならば離党するしか道はない

民主集中制という制度は「決定した後」が大変なのです

民主集中制を規定している党規約第五条の(五)は以下の通りです。

 (五) 党の諸決定を自覚的に実行する。決定に同意できない場合は、自分の意見を保留することができる。その場合も、その決定を実行する。党の決定に反する意見を、勝手に発表することはしない。

https://www.jcp.or.jp/web_jcp/html/Kiyaku/index.html

ハッキリ申し上げると、この規約があるため「私見」でモノを言う権利はありません
決定したら問答無用でその決定に服さなければなりません。
民主集中制は決定までのプロセスは民主的ですが、決定した後は全体主義です。
組織として闘う以上は結束する必要があるため、結束を乱す勝手な行動は許されません。

この他にも党として「一貫性」を重んじているので、
この理由としても勝手に開陳させる訳にはいかないのです。

一貫性に欠くと何が問題なのかというのは立憲民主党を見ればわかりますよ。
同じ党の議員なのに言っていることが全然食い違うということに。

こうなってしまうと党としてどっちに転ぶのかと有権者は不安になります。
小選挙区制では候補者を見ればよいのですが、比例代表では政党で投票しますから、
この食い違いは比例代表に投票する有権者を迷わせる要因になります。

一度採決で否定されるともうお終いです

また、(一度決定で否定された)自分の意見は保留することができるとされてはいますが、
一度決定してしまうと、再び発表する機会というのは実際には与えられることはないので、
永久に保留するか、諦めて放棄するかいずれかにするということになります。
党員でいる限りずっとフラストレーションがかかります。

勝手に私見を開陳するなどは、当然にこの党規約五条(五)に違反して除名処分です。
そもそも松竹氏の除名処分騒動はこの規約に違反して
外部に私見を開陳したことが原因です。
明確に規約違反ですから、処分は免れません。

私はこの規約のことは承知していますので、批判的な意見を開陳して
除名騒動にならないよう、わざわざ離党しているわけです。
松竹氏も批判的な意見を開陳したければ潔く離党すべきでした。

内部で変えることは組織の構造上無理です。
多く代議員が上層部の見解に殆ど疑問を呈さないのですから。
私は20年の間に地区党大会や県党大会もいずれも
代議員の経験は何度かしていますが、議論らしいものはなく無風状態。
殆どが顕著な成果のあった支部の「活動報告会」のような様相です。

こんな有様なのですから、軌道修正を試みたいのであれば、
党の外に出て突っ込んで行くしかありません。

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