Colaboの会計調査の結果について(1)

Colaboの会計について東京都が結果を報告しましたが、
非常納得のいかないもので、ツッコミ所も多いです。
気になった所だけ抜き出しました。

一桁間違えて「変だ」と気づきませんか?

1 対応の内容
勧告のあった、法人Aの本件契約に係る東京都若年被害女性等支援事業の実施に必要な経費の実績額について調査を行った。調査内容としては、支出の根拠となる領収書や賃金台帳を確認するとともに、これらの支出を管理している台帳(以下「管理台帳」という。)と突合しているかなどを確認した。その結果、以下のような状況であった。
※法人Aの管理台帳では、「人件費」「事務所・居場所運営費」「給食費」「通信運搬費」「医療費」「備品購入費」「消耗品費」「旅費交通費」「宿泊支援費」「車両関連費」「各種保険」「会議費」「ソフトウェア」の区分となっている。

(1) 人件費
人件費は、職員の給与、税理士報酬、社会保険労務士報酬等が計上されている。
(職員の給与)
職員の給与については、法人Aの職員のうち東京都若年被害女性等支援事業に主として従事している職員の給与及び団体の他事業と兼務している職員の給与の一部を計上していた。
支出の確認に当たっては、賃金台帳と管理台帳を突合した。また、銀行の振込履歴を確認し、職員に支出されていることを確認した 。
その結果、以下のような支出があった。
本来57,347円と管理台帳に記載すべきところ、507,347円と誤って記載されていたため、450,000円が過大に計上されていた
〇 住民監査請求監査結果において「給与については総支給額を計上せず、所得税等の税額を控除した後の金額を計上しており、過少計上となっている」との指摘があったことから、このことについて確認したところ、管理台帳には、所得税等の税額を控除した後の金額が記載されていた。改めて、総支給額を確認し、その結果、90,669円が計上漏れとなっていた。
〇 賃金台帳及び振込履歴を確認したところ、本事業に従事している職員の給与は総額で22,479,576円であったが、うち13,674,740円については、本事業の管理台帳に記載されていなかったため、対象経費には含めないものとする。

https://www.kansa.metro.tokyo.lg.jp/PDF/08jumin/4jumin/4jumin5_sochi1.pdf

余計な「0」を入れて1桁違うの気づかないんでしょうか
税理士さんも付いているはずなのに、「特定の時期だけ妙に費用が出っ張っている」と
気づかないのは不自然だと思いますね。

仮に正当に支払われたいたとしても、その時期だけ人件費が増大したのであれば、
何があったのか検証する必要があります。
例えばトラブルが発生して職員の残業時間が異常に増大したなどは気にするはずですし、
内容如何によっては都に運営上のトラブルがあった旨を報告する必要もあるはずです。

給与の額は所得税等込みで計上し、控除した後の分を従業員に支払います。
控除した分のお金は当該従業員の代わりに支払うものなので、「預かり金」として処理します。
納付したら相当額を帳簿から消します。
経理事務の基本の「キ」です。(基本の「キ」だなんて、フジマキくんみたいですね…)
額面からして、処理の方法が分からない職員・スタッフに任せて漏れがあったのでは?
と見られますが…

経費のプール論?

(税理士報酬、社会保険労務士報酬等)
税理士報酬等については、全額が計上されていた。
税理士等は、本事業に関することだけでなく、団体の他事業にも関与していることを踏まえると、支払われた報酬全額を本事業の経費として計上することは適切ではないことから、按分するように指導し、その結果、612,912円が過大計上となっていた。
なお、当該経費の按分の考え方であるが、団体の事業費の全体額(当該報酬を除く)のうちで本事業の経費(当該報酬を除く)が占める比率を乗じて、算出した。
上記の結果、職員の給与8,804,836円、税理士報酬、社会保険労務士報酬等201,088円の合計9,005,924円が支出されていることを確認した。

https://www.kansa.metro.tokyo.lg.jp/PDF/08jumin/4jumin/4jumin5_sochi1.pdf

公費を受けて行う事業とそれ以外の事業で会計を分けておく必要があり、
按分しなければなりません。
また、それ以外の事業も非営利事業と営利事業の間で会計を別にしておかなければなりません。
プールしてはいけません

非営利型NPOでも営利事業は行えますが、
その事業部分については一般企業と同じく法人税等の対象となります。
その分の税額を算出するために別会計が必要なのです。

税理士さんもその事情は承知なのでしょうから、
報酬を決めるときに予め内訳を決めて契約するなり、
費用計上しやすくするために、請求書に按分した内訳を入れておくべきでしょう。
不親切だと思います。

1人当たりの額の大きいのがあり、役員だけの会食費入ってませんか?

(3) 給食費
給食費は、支援した女性への食費などが計上されている。
支出の確認に当たっては、管理台帳に記載されている内容と領収書若しくは銀行の振込履歴を突合した。
その結果、以下のような支出があった。
〇 管理台帳に記載があり、領収書も存在するものの、宛名が当該団体の職員名となっている領収書が2件29,891円あった。職員名での領収書は、当該事業に係る領収書としては認められないことから、対象経費から除外することとする。
同一の経費が管理台帳に重複して記載してあるものが1件10,691円あった。本経費については対象経費から除外することとする。
給食費ではなく、消耗品として計上すべきものが3件8,906円あった。改めて消耗品として計上することとする。
〇 受領者に関する一部の情報の提示を団体側が拒否し、領収書の内容全てを確認できなかったため、証憑書類としては認められないものが1件800円あった。
上記を除き、2,464,989円が支出されていることを確認した。
なお、監査で指摘のあった「一回当たりの支出が比較的高額なレストランでの食事代」については、一回あたり2万円を超える領収書を確認したところ、8件あった。詳細は以下のとおり
① 20,990円 食事代 12名(1人当たり1,749円)
② 29,710円 食事代 6名(1人当たり4,952円
③ 21,330円 食事代 8名(1人あたり2,666円)
④ 54,340円 食事代 16名(1人当たり3,396円)
⑤ 66,396円 食事代 8名(1人当たり8,300円
⑥ 41,699円 食事代 6名(1人当たり6,950円
⑦ 27,587円 食事代 10名(1人当たり2,759円)
⑧ 21,750円 食事代 10名(1人当たり2,175円)
使途を確認したところ、支援対象者との面談や、支援対象者間の交流を促進し、自立に向けた意識づけを目的としたものであった。
支援対象者の自立を図るための会食等は、事業実施上必要性が認められることから、本事業の対象経費とする。

https://www.kansa.metro.tokyo.lg.jp/PDF/08jumin/4jumin/4jumin5_sochi1.pdf

重複して記帳、勘定科目の誤りなど、結構初歩的なミスが多いですね…
冗談抜きに経理作業をしている職員・事務スタッフさんの教育をした方がいいですよ。

②⑤⑥の1人当たりの金額がちょっと気になりますね。
特に⑤と⑥は1人あたり5,000円を超えており、
対象者との面談等での会食費としては高すぎるのではないでしょうか。

夕方~夜での会食にしても未成年者もいるでしょうし、
同席する職員やスタッフは職務中ですからお酒は入らないはずです。
せいぜい1人あたり2,000円前後でしょう。

半ば接待になるような他の団体の役員クラスの人同士の会食でもない限り、
そんな高い店で会食する必然性がありません。

公式サイトで示している役員は全部で7名です。
協力団体の役員が客人でいたり欠席者がいたりで人数は前後するでしょうが、
額面からして役員関係者によるランチ会食のように思えますが。

私は実際とあるブラック企業で領収書の整理と集計という経理補助の経験してますが、
お得意様の役員との会食という名目の領収書の一部が、
実際には自社の役員だけの会食だったというものが混入していました。

そういう経験からして、役員だけの会食費ではないかと思われるんですよねぇ。
1人あたり5,000円以内であれば役員だけの会食でも会議費として経費処理できます。
①は何とかなりそうですが、超過している⑤と⑥はそうは行きません。

中小企業の場合、接待交際費は9割までは損金計上できますが、
NPO法人の場合この適用はできるのでしょうか?

事業を継続して営むために必要な接待費や交際費などは当然損金(経費)に計上できます。その場合に交際費等とは、税務上・得意先・仕入先その他事業に関係ある者(その法人の役員、従業員、株主等を含む)に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出する費用で、寄付金、福利厚生費、広告宣伝費、給与等に該当しないものをいい、損金計上につき一定の制限をしています。

全額を損金とすることはできず、その交際費等支出額のうち400万円までの部分についてはその10%相当額を損金に算入できません。また、その交際費等支出額が400万円を超えるときは、400万円を超える部分の全額と40万円の合計額が損金となりません。したがって、その損金不算入額を少なくするためには交際費等とその隣接費用(福利厚生費など)の区分が重要となります。

https://www.yamagata-npo.jp/archives/ufaqs/856#:~:text=%E4%BA%8B%E6%A5%AD%E3%82%92%E7%B6%99%E7%B6%9A%E3%81%97%E3%81%A6,%E7%B5%8C%E8%B2%BB%EF%BC%89%E3%81%AB%E8%A8%88%E4%B8%8A%E3%81%A7%E3%81%8D%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82

上限はあるようですが、可能のようですね。
ただし、内部の役員だけの会食は接待交際費には計上するのは不可です
若草プロジェクトぱっぷす、BONDプロジェクトの役員を交えての会食であれば、
接待交際費として計上はできますが…

やはり金額的に見て少なくとも1人あたり5,000円を超過している
⑤と⑥は事業として支出された給食費とは別のものと考えるべきではないでしょうか。

どうやったらそんな間違い方するんですか?

(6)備品購入費
備品購入費はパソコンの購入費用を計上している。
支出の確認に当たっては、管理台帳と領収書を突合した。
その結果、パソコンの購入費用として336,280円が支出されていることを確認した。
一方で、実施状況報告書では、エアコン購入と記載があったが、実際はパソコンを購入していたことから、団体に対し、改めて実績報告書の記載内容に誤記が無いように指導した。

https://www.kansa.metro.tokyo.lg.jp/PDF/08jumin/4jumin/4jumin5_sochi1.pdf

一体、どうしたらパソコンとエアコンを間違えるのでしょうか…
こんな間違え方ありますか?
事務スタッフとのコミュニケーション大丈夫ですか?
こんなミスをするなんて、運営は大丈夫なのかと心配になってきます。

また、経費のプールをやらかす

(8)旅費交通費
旅費交通費は駐車場代、交通費などを計上している。
支出の確認に当たっては、管理台帳と領収書を突合した。
その結果、以下のような支出があった。
〇 団体の自主事業に関する旅費が3件で63,948円含まれていた。
〇 受領者に関する一部の情報の提示を団体側が拒否し、全てを確認できなかったため、証憑書類としては認められないものが59件183,863円あった。
上記を除き、ガソリン代296,140円、交通費685,669円、駐車場代83,800円、レンタカー代27,840円の合計1,093,449円が支出されていることを確認した。

https://www.kansa.metro.tokyo.lg.jp/PDF/08jumin/4jumin/4jumin5_sochi1.pdf

3件、63,948円を「都から受けた事業以外」の事業経費からねじ込んだということですね。
対象事業以外の事業の経費はとは別会計です、プールしてはいけません。
それとも費用水増しのために故意にねじ込んだのですか

ここで多数の提示拒否があるので、
旅費交通費として認められない費用をねじ込んでいる可能性が大きいですね。

つづく

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