賃上げ交渉は経営者に申し入れても意味が無いことがある

資本と経営が分離している場合は資本の方にも申し入れが必要

大手企業の賃上げ交渉を見ている限り、経営者だけに交渉してもあんまり意味が無いんですよね。
大手の場合は間違いなく経営者は株主総会で任命を受けて経営を任された存在で、いわゆる株主の手足となって動いているに過ぎないのです。

株式会社にあっては株主が会社の所有権を持っているわけで、基本所有者がどうするかを決められる立場にあります。従って、会社の所有者にある株主の方に交渉をしていく必要になってくるということになります。

内部留保を賃上げにという理論もあるのですが、それを決められるのは株主総会です。純利益に上がったお金の権利は株主にあるため、その扱いは株主総会で決められることです。
そもそも内部留保は純利益のうち株主配当に回さかった残余が会社の蓄えとなることで内部留保という形になっているわけです。

そもそも経営者は株主配当の原資となる純利益を増大するよう株主から求められてきますので、純利益の確保のためとして人件費も切り詰めようとします。従って、賃上げ交渉をするには誰が会社の所有者かという所に目を向ける必要があり、経営者と所有者が一致しない場合は所有者の方にも目を向けなければなりません。

問題は中小企業の場合です

こちらは資本経営の関係より収益力が伸びず原資不足

中小企業の場合多くは株主は創業者一族などの場合が多く、資本と経営が分離しているケースは少ないでしょうが、多くの場合は賃上げ交渉しようにも収益が伸びず、原資不足から上げられないという事情を抱えているケースがほとんどです。ない袖は振れぬというわけです。

単純に売り上げが伸びないケースもありますが、薄利多売の商慣行や価格競争などの要因で本来の価格で販売できないために利益率が鈍っているのも原因と考えられます。また、既に過当競争の状態で正常な利益が得られない構造になっていることも考えられます。

下請が主な事業である場合は元請からの単価切り下げが問題

中小企業の場合、多くは大企業の下請あるいはサプライヤーとして事業をしていることも多いのですが、えてして元請が取引の力関係を使って単価を切り下げてくることが往々にしてあります。
2016年に下請法が改正されていますが、依然不充分な部分も多くのこしているのか、なかなか改善が進まないのが現状ではないでしょうか。

大企業の製品の原価構造の違いを理解せずに顧客が単価を下げさせる

中小企業の場合、大企業と原価構造が違うので価格競争になると利益がなくなってしまいます。
大企業は少品種大量生産、中小企業は大企業の製品では満たされないニーズの隙間に入っていくことで差別化していくことが多いため、多品種少量生産の傾向があります。ここで問題になるのは「配賦」です。

配賦とは、部門や製品を横断して発生する費用を、配賦基準に従って配分処理すること。建物や備品などの減価償却費といった間接費を厳密に配賦することは困難となるため、一定の配賦基準を設け、それに従って部品や製品に費用配分処理をする。
配賦基準次第でどのような費用配分にでもなりうる。例えば、売上高を基準に配賦する場合と、人員数を基準に配賦する場合では、費用配分結果が全く異なるものになる可能性がある。そのため、配賦する費用が、どのような原因で発生し、それがどのように利益に貢献しているか検討の上配賦基準を設定することが必要となる。

https://www.infomart.co.jp/seikyu/yougo/haihu.asp

つまり製品1個あたりの原価に間接費を加算するのですが、例えば10万円の間接費を製品10万個に配賦すると1個あたり1円ですが、これが1万個だと1個あたり10円となってしまいます。
大企業と中小企業との間ではこの数量の規模自体に差があるので対等な価格競争になりません。

しかしそれを知ってか知らずしてか大企業の製品の価格を基準にして値引き交渉してくることがあるようなので、この顧客との取引上の力関係の問題も解決する必要がでるでしょう。

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